半年近く、家を探し続けたけど、そろそろ疲れてきたなぁ。予算あげないと無理かな。
とりあえず、友達に情報提供お願いしたから、もうちょっと予算このままで待ってみよう。
我が家の予算と立地条件と、家の状態と間取りと、地区の雰囲気、全部クリアする家なんて、本当にあるのかなぁ・・・
お!友達から早速情報きたよー!友達の友達の持ち家で、数年前から売りに出してて早く手放したいらしいよ。
なんかややこしいな。とりあえず見せてもらいたいね
持ち主は県外に住んでるけど、鍵は預かってるから貸してもらえるって。今度の休みに行ってみよう。
と、こんな感じで飛び込んできた古民家情報。
見学前に分かっていた情報としては、家主は年配のおばあちゃん。
ご主人の死後、家の管理ができなくなり県外へ引っ越し、数年前から空き家状態が続いている。
数年前の時点で、雨漏りやトイレの水漏れなど不具合が発生しており、修繕は必須。
建物は築40年ほど経っており元々は縫製工場だったものを、25年ほど前に改装し住居としていた様子。
土地の広さは約1300㎡(400坪くらい)、建物は約200㎡(60坪くらい)で十分すぎる広さ。
数年前から不動産屋に仲介してもらい300万円で売りに出しているが、売れる気配はない。
もう県外に出ており管理できないので安くても良いから早く手放したいと考えている。
家の鍵を預けていた友人が偶然にも私たちと面識があったため、我が家に話が回ってきたのだ。
仲介していた不動産屋はHPを持っておらず、しかも家から2時間ほど離れた場所にあったため、不動産経由でこの家を発見することは困難だっただろう。
結局、持つべきものは友なのだ。
好条件に思えたが、家を実際に見るまでは何とも言えない。
300万円で売りに出ていた家が、どこまで安くなるのかも分からない。
修繕費用があまりにも高くなるようなら、手は出せない。
素晴らしい家との出会い!と喜び勇んで出かけて行って、ガッカリして帰ってきた経験が何度もあったので、あまり期待はしていなかった。
そんな気持ちで出会ったのが、この家である。
ここに辿り着くまでの進入路は竹でふさがり、車で入ってくることはできなかった。
この時点で、かなり気持ちは萎えている。
借りた鍵で、実際に家の中に入ってみると・・・
残置物と雨漏りとカビが目立つ。
さらに気持ちは萎える。
トイレは水漏れや排水詰まりがあったようで、写真を撮る気持ちにもならない様子だった。
これまで見てきた古家は、古いながらもある程度片付いていたため、初めて出会う混沌とした残置物の山に圧倒されてしまった。
最初の第一印象での私たちの感想は・・・
だったのだが、他にも気になっていた物件が軒並み期待外れの結果となり、結局この物件が残ってしまった。
そこで再度、不動産屋さん立ち合いの元で先入観を捨てて落ち着いて内覧し検討することに。
床が少しフカフカしてるけど、見る限りシロアリの被害はないんだよね。
雨漏りも数か所だし、屋根の穴を塞いで、該当箇所の天井だけ交換すれば大丈夫そう。天井裏も見たけど以外に綺麗だったよ
間取りは希望通りだし、残置物を片付けて一部改装すれば、とりあえず住めそうだよね。住みながら少しずつリノベすれば良いんじゃない?
電気工事は専門だし、トイレ交換と内装工事も出来そうだなぁ。今後のために良い練習になるかも。
見た目にこだわらなければ、とりあえず100万円くらいで住める状態に修繕できそうだよ?
となると・・・本格的に購入を視野にいれて動き出さなきゃね
値引き交渉について不動産屋さんに聞いたところ、「自分たちで契約書や登記移転の手続きができるなら、あとは持ち主さんと直接交渉してください」との何とも適当なお返事を頂く。
この物件は数年前から動きがなく、遠方にあるため、不動産屋さんとしても早く手放したい物件だったようだ。
そこで友人に仲介を頼み、持ち主さんと直接電話でやり取りすることに。
持ち主であるご高齢の奥様と電話でお話したところ、「いくらでも良いから、買ってほしい」と仰せに。
家主の意思は確認できたが、後でトラブルになっては困るので、息子さんの連絡先を教えてもらい、息子さんとも電話で話すことにした。
息子さんとしても、「不要な物件なので早く手放したい、価格に関しても母親が納得するのであれば問題ない、契約書等の書類作成もすべてお任せしたい」との事。
こうトントンと話が進むと、少し怖くなってくるものだ。
実際の契約に至るまでに確認したことを記載しておく。
①家主と家族の意向
特に家主が高齢である場合、契約が進んでから家族の意向が違うことが判明しトラブルになる可能性があるので注意が必要。
家主に認知症の傾向がある場合は、当然だが家主の意思だけでは決められない。
そうでなくても、親である家主は不要と思っている土地を、親族のだれかは活用したいと考えている場合もある。
②土地と建物に致命的な欠陥がないかどうか
今回のように雨漏りなどは分かりやすい例だが、雨漏りの影響が家のどこまで及んでいるかは要確認。
古い木造であれば、シロアリ被害が出ているかも要確認。
水道トラブルがあった家だと聞いていたので、浄化槽の状態や水漏れ具合も確認した。
いずれも、修繕可能かどうか、修繕するのに必要な時間と予算を見積もりし判断した。
土地に関しては崖崩れや陥没など住めなくなる危険の兆候がないかを確認。
③法律上の問題がないかどうか
家主の了承を得て、登記事項証明書を法務局から取り寄せ確認した。(WEB上で簡単に取り寄せ可能)
古い建物であれば未登記であることもあるので、要注意。
さらに、差し押さえや抵当権の対象となっている可能性もあるので、それらも確認できる。
ついでに、土地の所有者の名前と住所がどうなっているのかも登記移転の手続きに必要となってくるので確認した。
※今回の場合は、前家主の住所情報が古かったため、登記移転前にさらに住所変更の手続きが必要となった。業者に依頼すれば5万円ほどかかる手続きとなる。
④登録免許税や固定資産税の概算
安くて土地と建物を手に入れたのに、税金が高くて驚いた、という話を聞くことがある。
不動産屋に支払う仲介手数料は、実際の不動産売買の実際の取引額から計算するので、安い物件であれば仲介手数料も安くなる。
それとは別に登記移転の際に必要となる登録免許税は、不動産の課税標準額をもとに計算する。
この課税標準額というのは不動産会社や持ち主が算定するわけではなく、国や市町村が算定するものなので、実際の取引額とは全く異なるものとなる。
そのため、両者の合意の下で安く土地を手に入れたとしても、課税標準額が高額であれば登録免許税も当然のように高額となる。
計算方法に関しては割愛するが、例えば50万円で売買した土地の課税標準額が1千万円であれば登録免許税として20万円が飛んでいく、という事もあり得るのだ。
課税標準額から固定資産税も算出されるので、課税標準額が高額であれば毎年の固定資産税も高くなる。
せっかく安くで土地と建物を手に入れたのに、登録免許税や固定資産税で高額請求されてしまうのは悲しすぎる。
という訳で、家や土地を購入する際には課税標準額の確認も必須なのだ。
課税標準額は毎年の固定資産税の課税明細書を見せてもらうか、役場で「固定資産評価証明書」を取り寄せることで確認できる。
今回の我が家の場合は、幸い(?)課税標準額/土地と建物の評価額が200万円未満だったので、登録免許税は3万円ほどとなる計算になった。
⑤残置物撤去の意思確認と費用の計算
残置物が残っている家だったため、残置物の扱いについて家主の意向を確認した。
プライバシーに関わる書類等や、まだ使えそうな家電などもあったため、処分に際して立ち合いや分別が必要になるかを聞いておく必要があった。
家主も息子さんもすべて処分してくれて構わないという事だったので非常に助かった。
どんどん捨てていくとしても、燃えるもの、燃えないものに分別する必要があり、業者に依頼すると10万円以上取られるケースもある。
業者に依頼すれば不用品は産業廃棄物扱いとなるが、自分たちで捨てれば家庭ゴミの扱いとなるので、費用がかなり変わってくるのだ。
私たちの場合は、軽トラもあり、市町村のクリーンセンターに持ち込めば安価で処分できることが確認できたので安心だった。
⑥ご近所さんの様子
何度か下見で家に行く機会があったので、隣近所にご挨拶に行ってみた。
空き家に人が出入りするのは怪しまれるので、その対策と、ついでにご近所の様子が聞けたらいいなぁという目論見もある。
前記事で書いていたように、地域の様子や反応によっては移住者は生活しにくくなる。
前の家主家族も他府県からの移住者だったため、おそらく移住者に優しい地域ではないかと予想はできたが、確認しておく必要がある。
実際にご近所さんにお邪魔してみると、空き家になっているよりは誰かが住んでくれれば安心だと、歓迎モードであることが分かって安心した。
いろいろ調べたけど、特に大きな問題は無さそうだし、登記移転の手続きも自分で出来そうだよ
なんだか現実的になってきたね。あとは建物と土地を幾らで譲ってもらえるか、だね
今分かっている費用は、修繕に100万円、その他税金や残置物処分にざっくり10万円くらいかな。
となると、家と土地に出せる費用は・・・30万円くらいかなぁ
だよねぇ。幾らでも良いと言われてたけど、さすがに駄目かもね。ま、聞くだけ聞いてみたら?
・・・・・・・
こうして、30万円という破格値で400坪の土地と、6LDKの60坪の家を手に入れる運びとなった。
安すぎて申し訳ない気持ちもあったが、ご近所で聞いても空き家は30-40万円ほどで売買されるケースが多いそうなので、この地域の適正価格なのだろう。
とはいえ、我が家は広くて築年数も古民家と呼ぶには新しいので、やはり激安である。
良い出会いと前家主様のご親切に感謝だ。
とはいえ、住める状態にするまでにやる事はたくさんあり、問題は山積みだ。
何はともあれ、こうして我が家の「たちつてと日誌」の1ページ目が刻まれたのである。